ザルテンの本で美しい馬を描いていた藤田嗣治2014/10/26 18:48

藤田嗣治/装幀

 『白馬物語』、箱入りの動物文学の名作が目に止まった。作者ザルテンはかの”バンビ”の原作者だなあと思ながら、本体を箱から取り出すと、美しい馬が現れた。表紙から裏表紙まで、一頭、白馬が横から描かれている、一瞬、フジタの筆致が思い浮かんだ。確かめると、ちゃんと装幀者として、フジタの名があった。すぐ買った。

 惚れ惚れするほど実にいい絵なのだが、以前に参考にした林洋子先生も、その労作『藤田嗣治 本のしごと』で、この本は紹介していなかったし、一瞬研究者をなじりたくはなってが、まあ神田の「青空」で出会うまで、私も知らなかったのだから文句は言えない。

 そんなに珍しい本かと、「日本の古本屋」検索したら、数冊売られていた。ご丁寧にフジタの装幀本と書き添えてあるものもあり、別に特別高価ではない。本の状態にさえ、こだわらなければ、いつでも、誰でも買える本だが、まあ、こんな美本はなかなかないよと、一瞬パソコンの前で負け惜しみ。


† 白馬物語


 フェリックス・ザルテン/著  秦 一郎/訳  

 藤田嗣治/装幀 牧野虎雄/題簽

 東京堂●

 昭和18年4月15日初版発行●四六判 421頁 2円80銭  


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の装幀についてはこちらへ/

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