川村清雄、鏤刻の装幀、「洗心録」2014/10/06 11:37

川村清雄/装幀

前にご紹介した『洗心広録』の元版。この「大正名著文庫」版は表紙の図像を浮き彫りにする押し型印刷で、当時としては非常に斬新な技術である。装幀者の真骨頂といったところか。

大正時代の貸本屋の蔵印があり、娯楽本や漫画しか並んでいなかった戦後の貸本屋と大いに違う。当時の読書事情が伺えて面白い。

何とかレリーフが分かるようにスキャン出来た。

このレリーフがある装幀本、私は初めて見た。カバーがあったらしいが、既刊の川村清雄の図録などには掲載されていなかったので、貴重な資料だろう。


† 洗心録


 幸田露伴/著  

 川村清雄/装幀

 至誠堂書店●大正名著文庫(8)

 大正3年7月18日初版●大正5年4月1日19版発行●四六判 238頁 1円20銭  


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の装幀についてはこちらへ/

http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/


こんな人が装幀を!(五)ただならぬ気配を感じた川村清雄の『洗心広録』2013/03/14 10:51

装幀/川村清雄

最近では意識的に古書店に立ち入ることは避けている。なるべく古本を買わないためだ。神田へも晴れの日に即売会に行くぐらいにして蔵書の増殖を避けている。

しかし神田へ行けば、必ず店先の格安本を一度は漁ってみる店がある。悪癖だ。これは直らない。

それは箱なしだった。それが幸いした。露伴だから箱に収まっていたら、手にとることもなく、わざわざ箱から出して見ることもなかったろう。そしてその表紙に目を奪われることはなかったろう。

何が幸いするか分からない。箔押しされた表紙にただならぬものを感じた。箱欠で、再版、背にぶっつかった凹みキズがあるので格安であった。

装幀者名は書いていない。取り敢えず購入して調べてみたら、江戸博などで昨年再評価の展覧会があった川村清雄であった。


† 洗心廣録


 露伴學人(幸田成行)/著

 装幀/川村清雄

 至誠堂書店●

 ●大正15年6月12日発行/6月20日再版●B6判(128×182ミリ) 612頁 3円80銭


源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の書誌についてはこちらへ/

http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/