荻須高徳の装幀本(2)マルセル・パニョル『マリウス』2013/10/20 08:26

荻須高徳/装幀

雄鶏社のパニョルが手に入った。マルセーユ三部作の第一作である。ホルスト・ブッフホルツとレスリー・キャロンの主演で映画化された。その昔、私は新宿の今はなき京王名画座で観た。あの海の青さが強烈に印象を残した恋物語だった。

その原作の戦後版の表紙をOGUISSがやっていたとは知らなかった。戦前のフジタの装幀のほうがマルセーユぽい路地裏が描かれていて、またいいのだが、この版も港全景を描いていて、捨てがたい。


† マリウス


 マルセル・パニョル/著 永戸俊雄/訳

 荻須高徳/装幀

 雄鶏社●

 ●昭和23年4月5日発行●B6判 275頁 100円


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装幀作者不詳本(6)近代美しき粧ひ2012/12/25 09:37

装幀/不明(女性の顔、どこかで見たようでもあるが…)

箱が美しい。しかし、またしても装幀者の記載はないのだ。初版がいつなのかは記載がないので分からないが、この本が五刷だからたくさん売れたのだろう。

化粧に始まって、衣装に至るまで、女の身だしなみ全般の指導書といった体裁で、素人目にも良く出来た本だから当然か。昭和初期の美容界が伺い知れて楽しい。

売れっ子美容師の本だから、モデルも豪華スターが揃い、グラビア写真に登場する夏川静枝のうなじに惚れ惚れした。


†近代美しき装ひ


 メイ・ウシヤマ(牛山春子)/著

 装幀/不明(女性の顔、どこかで見たようでもあるが…)

 岡田文祥堂●

 ●昭和5年5月1日5版発行●変型判(150×192)ミリ 245頁 箱 1円50銭

自著自装本(2)またまた、高峰秀子の本「まいまいつぶろ」2012/08/16 10:25

装幀・画/高峰秀子

デコちゃんこと高峰秀子はよくよく本作りが好きだったのだろう。この二冊目の著書も自装本である。

前作のコンセプトを踏襲して、立派な作りの本で、出来映えも文句のつけようもない。版元も同じである。

「まいまいつぶろ」とは、かたつむりのことらしい。この本で初めて知った。

ところで、彼女、エスカルゴを渡仏の際、食べたのだろうか、さあ思い出すことが出来ない。久しぶりに『巴里ひとりある記』を読み直すとするか。


† まいまいつぶろ


 高峰秀子/著

 装幀・画/高峰秀子

 映画世界社●

 ●昭和30年6月1日発行●A5判変型(146×190ミリ) 箱 165頁 380円


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自著自装本(1)高峰秀子の「巴里ひとりある記」2012/02/25 18:03

装幀・挿絵/高峰秀子

一昨年なくなられた、デコちゃんこと高峰秀子の本がなぜかブームだ。新刊書店の平台に彼女の書いた本がたくさん並んで、壮観である。

私の世代だと、小学校で見に行った『二十四の瞳』のおなご先生、大石先生役が印象深い。

彼女の最初の本『巴里ひとりある記』は得意のスケッチ画をふんだんに鏤めた自装本である。

この本何しろ豪華である。口絵の肖像画を梅原龍三郎が描き、ポートレート写真を早田雄二が撮り、扉には仏文学の渡邊一夫の「セーヌのほとりにあたしはひとり」とのペン書きもあるのだ。

今、平台に積み上げられた新装版は、この自装本に比べると見劣りすることは否めない。そのすべてをお見せ出来ないのがいかにも残念である。


† 巴里ひとりある記


 高峰秀子/著

 装幀・挿絵/高峰秀子

 高峰秀子像/海老原龍三郎・画 ポートレイト/早田雄二・写

 扉・仏文/渡邊一夫・筆

 映画世界社●

 ●昭和28年2月28日発行●A5判変型(145×192ミリ) 箱・帯 183頁 340円


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装幀アットランダム(7)野口久光の「文化果つるところ」2012/02/05 07:24

装幀/野口久光

野口調絶好調!

専門のポスター画ほどの丹念さはないが、このあっさりした筆致で、主演女優のボリュームある、生きている肉塊といっていい肢体を描いて秀逸である。

この得難いカバー絵のある本だが、口絵も4ページあって、スチール写真のアリサ役のケイマの肉体も見られて、これもまたいい。


† 文化果つるところ 


 J.コンラッド/著 本多顕彰/訳

 装幀/野口久光

 早川書房●

 ●昭和28年2月20日発行●四六判 366頁 280円


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