書名が埋没、表紙装幀の悪例か ? 『青年』 ― 2016/01/19 07:49
この装幀、絵として見ると、味があっていいのに、肝心の書名が絵柄に埋没してしまっていて、すぐには判読不可能。木村荘八先生としてはどうしたことか。困った装幀である。まあ、カバーは初めて見るので、スキャンした。
ピエ・ブックスの大著「大正 昭和のブック・デザイン」では本体しか紹介されていなかった。まあ、箱かカバーあるだろうと思っていたが、少なくともカバーはあることはこれで分かって、良かった。
† 青年
林 房雄/著
木村 荘八/装幀
創元社●
昭和17年9月5日再版発行●四六判 カバー 427頁 2円30銭
↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/
http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html
シムノンのメグレ本の装幀についてはこちらへ/
↓http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/
恩地孝四郎の仕事(1)巨匠二人が揃った新書本 ― 2012/04/23 11:29
昔、中央公論社が出していた新書判のシリーズ本。当時は新書とは名乗っていなかったが、本体の装幀は恩地先生のデザインで統一されていたから、教養書のシリーズ企画だったのだろう。
カバーのデザインに先生が関与していたのかは分からないが、カット絵は表紙、裏表紙を含め三点あり、木村荘八の筆である。
例の『恩地孝四郎装本の業』では、本体はグレー白抜き模様とあるが、単なるグレー地ではなく、写真のように黄味ががったグレーのようだが。表紙に使われた紙色の影響かも知れない。
† 東京・京都・大阪 よき日古き日
吉井 勇/著 装幀/恩地孝四郎 カバーカット/木村荘八
中央公論社●
●昭和29年11月25日発行●新書判 233頁 130円
こんな文庫・あんなカバー(8)川端康成『雪国』 ― 2011/11/08 11:26
河出文庫といっても、昔の河出書房の出した文庫。一時期、色刷りカバーをつけて、特装版として出版されていたものの一冊です。
カバーの作者は木村荘八、なんとも素晴らしい出来映えです。この文庫を手にとると、まるで自分が襟巻きを押さえながら、雪道を歩いている、そんな気分になり、思わず、むむと、唸ってしましました。
先生は戦前から活躍していた洋画家ですから、当然といえば、当然で、この何気ない仕事、光っています。かの永井荷風の『墨東綺譚』よりも、仕上がりは格段に上と思いますので、ご紹介します。
† 雪国 河出文庫特装版
川端康成/著 木村荘八/カバー
河出書房 昭和30年1月10日 初版 発行
A6判(105×148ミリ) 157頁 55円
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