パリでのスケッチ? 駒井哲郎の装幀本発見2014/12/20 20:31

駒井哲郎/装幀

本の背にラクダのマークをつけたミリオン・ブックス。昔々の新書シリーズ本であった。懐かしさのあまり手にとると、表紙に寂しい街角のきれいな絵が描かれていた。

作者はどなたかと思いながら、ページを開くと、「駒井哲郎」の文字が目に飛び込んできた。こんな本もあったのかと一瞬驚く。

先生の年譜によると、この新書の出た昭和31年の前年の年末にフランスから帰国しているから、在仏中のスケッチをこの告発的ルポルタージュの装本に提供したのだろう。

訳者によると、フランスでは出版当時売れた本なのだが、その後すっかり忘れられた作品なのか、『駒井哲郎ブックワーク』には、なぜだか、この本は載ってはいなかった。見つけられて良かった。


† 自由なき女たち


 ヴァン・デル・メルシュ/著  大塚 幸男/訳  

 駒井哲郎/装幀

 大日本雄弁会講談社●ミリオン・ブックス

 昭和31年10月25日第一刷発行●新書判 188頁 130円  


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

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久しぶりに美しい駒井装幀に出会う、阿部昭の『千年』2014/11/20 17:23

駒井哲郎/装幀

 この本は 『駒井哲郎ブックワーク』には、モノクロで掲載されていたので、何の印象も持たなかったが、現物を手にとってびっくりした。美しい。透かしてみると、山々か木々の連なりがおぼろげに浮き出て見えた。

 指でなぞると、凹凸を感じた。型押し印刷だった。大量生産の時代のカバー印刷にしては凝ったことをしたものだが、いったい誰の意向だったのだろう。前述の『駒井哲郎ブックワーク』では、軽く扱われていて、この印刷についての記述はなかった。


† 千年


 阿部 昭/著  

 駒井哲郎/装幀

 講談社●

 昭和48年4月12日第一刷発行●四六判 237頁 600円  


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駒井哲郎の仕事(4)福永武彦『冥府・深淵』の装幀2013/06/16 11:02

駒井哲郎/装幀

駒井哲郎ブックワークに再録された先生のエッセイを読んでいたら、戦後最初の装幀の仕事がこのミリオン・ブックスの「深淵」ではなかったかとの記述があった。

ところが、ブックワークにはその書影はないし、後ろの年譜にもそんな事実は見当たらない。その年譜によると、昭和29年3月に渡仏、この本の初版が出る前年にパリを発ち、マルセーユより帰国の途に、12月に横浜港に着いているので、留学後の最初の仕事に違いはなさそう。

こうなれば、現物を見て確認するしかないので、友人の近代文学の蒐集家に問い合わせると、当該本を所持しているというので、拝借して確認、その書影と書誌情報を得ることが出来た。

ちなみに、本人が語っているそのエッセイの初出は講談社の『現代の文学(7)福永武彦』の月報となっていたが、その確認はまだ出来ていない(図書館でこのシリーズの月報合本と取り寄せて確認出来ました)。


† 冥府・深淵


 福永武彦/著

 駒井哲郎/装幀

 大日本雄弁会講談社●ミリオン・ブックス

 ●昭和31年3月25日初版●新書判 212頁 130円  


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駒井哲郎の仕事(3)福永武彦『世界の終り(新装版)』の挿画2012/12/29 10:36

駒井哲郎/装画(箱)

箱の挿画。ひとつの作品として見たくなって、表、裏、背の三面に分断されている作品を合成してみた。

同一条件でスキャンしたのだが、色味は微妙に違ってしまい、ちょっと仕上がりには不満だが、誰もこんなことはしてみないだろうから、良しとした。

こうして一画面にして眺めると、この世にないものを見せてくれる先生の面目躍如、讃歎を新たにした。駒井の後に駒井なしの思いを深くしてしまうのは、私ばかりではないだろう。


† 世界の終り(新装版)


 福永武彦/著

 駒井哲郎/装画(箱)

 人文書院●

 ●昭和44年9月30日再版●B6判・カバー 277頁 560円

駒井哲郎の仕事(2)シュティフテル『水晶』表紙2012/06/03 16:14

駒井哲郎/装幀

またまた、落ち穂拾いをひとつ。本の整理の途中で未読のシュティフテルが出てきた。八雲書店版『水晶』、珍しいことにちゃんと装幀者の名前が書いてあった。

誰あろう、駒井哲郎とあった。ヨーロッパの田舎町を何気ないタッチで描いてある。前に紹介した『パン屋の女房』と同年の巨匠若き日の装幀である。

実をいうと、今行われている世田谷美術館の「駒井哲郎・福原コレクション」に行くことになってから、たまたま、この本を雑書の山から見つけた。

これも何かの縁である、大著『駒井哲郎ブックワーク』には『パン屋の女房』と同様、この本の記載がないので、揚げ足とりかも知れないが敢えて取り上げた。

六月二日、昨日のことである。世田谷美術館講堂では高校の先輩である中林さんが話し手をされた「わが師駒井哲郎を語る」という講演会があった。

当日聴講に馳せ参じた後輩である私が、お節介にもこのコピーを持参して、会の終了後、中林先輩にお渡ししたが、今にして思えば余計なことであったかもしれない(本の装幀好きが勝手に興奮しただけ!)。


† 水晶


 シュティフテル/著 淺井眞男/訳

 駒井哲郎/装幀(カバー・扉)

 八雲書店●

 ●昭和24年3月30日発行●B6判・カバー 316頁 180円