こんな文庫・あんなカバー(12)畑山 博『狩られる者たち』2012/03/01 19:31

司 修/カバー&挿絵

旺文社文庫がなくなってから、何年経つだろう。文庫を整理していて、これが偶然出てきた。司修は畑山博の文庫のカバー絵も描いていたのだ。

表紙を眺めていると、青い花がこちらを凝視する人間の顔に見えてきて恐い。この文庫の小説世界を感じさせて、いい作品だ。

カバーを付けとけばいいという、昨今の文庫に比べると昔は本好きを楽しませてくれていたと思う。本当に。


† 狩られる者たち 他五編 旺文社文庫 


 畑山 宏/著 /司 修/カバー&挿絵 地主錦五/解説 城 夏子/「畑山さんの家族」収載

 旺文社文庫 昭和50年8月25日 初版 発行

 A6判(105×148ミリ) 309頁 260円


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装幀アットランダム(10)三度、はなはだ・きょってる『泥棒論語』2012/03/09 10:17

装幀・カット/安部真知

夜の会での、つながりがあってのことだと思う。安部公房の奥さんの装幀本である。

彼女は旦那さんの本も多く手がけているが、このお若い頃の花田本も素晴らしい。

意気軒昂たる様が画面に広がり、未来社の装幀にしては万々歳の出来、作者も気に入ったに違いない。


† 泥棒論語


 花田清輝/著

 装釘・カット/安部 真知

 未来社●

 ●1959年2月28日発行●B6判(128×182ミリ) 上製・カバー・帯 144頁 200円


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パリの本(12)佐野繁次郎の画集か「巴里風物誌」は!2012/03/12 06:41

佐野繁次郎/カバー絵

 こんなに楽しい本はない。著者は大昔ではあるが、NHKの名物番組の常連出演者だった渡辺紳一郎。

 彼自らが語るように、文章によるパリ印象記でもあり、その名文に佐野繁次郎画伯のスケッチが六十点近くついた画集でもある。

 今風に言うと、二人の逸材のコラボレーションといったところか。とくに画伯が描いた彼流のパリ描写は秀逸。戦後パリを再訪できた喜びで溢れている。


† 巴里風物誌


   渡辺紳一郎/文●佐野繁次郎/本文・カット絵(表紙・装幀画)

   東峰書房●昭和30年11月5日 初版発行

   B6判(126×182ミリ)●226頁●280円

装幀作者不詳本(3)マイケル・ゴールド「一億二千萬」2012/03/19 10:09

村山知義の装幀かも?

いろいろ装幀の仕事がある村山知義の翻訳である。なのに、装幀者名の記載はない。

もともと天と小口が断裁していないアンカット本なので、カバーは発売当時からなかったと思うが、もし、あったのなら、そこに記載があったのか、なにせ裸本で購入したのでなのでよく分からない(旧制高校の廃棄印あり)。

まあ、自分の訳書を他人に装幀してもらう場合もなきにしもあらず、訳者の装幀ではないのかも。その辺は想像の域を出ない。


† 一億二千萬


 マイケル・ゴールド/著 村山知義&柾 不二夫/訳

 装幀者・不明

 世界社●

 ●昭和5年6月15日初版発行●サイズ(138×200)ミリ 256頁 1円


懐かしい画家の本(1)桂 ユキ子の表紙絵「さちゅりこん」2012/03/28 07:04

カバー絵/桂 ユキ子

桂ユキ子といっても、もう知る人もないだろう。私も彼女のことはその画業というよりも、カッパ・ブックスの「女ひとり原始部落に入る」というルポルタージュを記憶に留めているのみ。自慢は出来ない。

この本の著者、花田清輝とは交遊があったらしく、そんな縁で彼の本に自身の絵を提供したのだろう。

昔、エッセーの仕事を頼みに行った時、花田清輝の思いで話を聞けて、感激したことを懐かしく思い出す。


† さちゅりこん


 花田清輝/著

 カバー絵/桂 ユキ子

 未来社●

 ●1956年3月15日第1刷発行/1957年7月25日第3刷発行●B6判(128×182ミリ)    カバー 307頁 200円


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