こんな文庫・あんなカバー(18)意外と新鮮、串田孫一先生の『歴史学入門』 ― 2012/09/03 10:07
こんな装幀家がいた(一)内間安(王星)あんせい ― 2012/09/09 10:11
ジェームズ・ケインの名作、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は翻訳者の多い本である。
私の知り得た範囲ではあるし、ミステリ分野に限るが、シムノンの「男の首」の次ぐらいではないか。
この「飯島正」を筆頭に、出版順にいうと、蕗沢忠枝、田中西二郎、田中小実昌、中田耕治の五人、錚々たる顔ぶれである。
因みに「男の首」は八人の訳者がいる。戦前の永戸俊雄に始まり、宮崎嶺雄、堀口大學、三好 格、宗 左近、石川 湧、木村庄三郎、矢野浩三郎の諸氏が続く。まあ、日本で一番売れたシムノンの本であろう。
† 郵便配達はいつもベルを二度鳴らす
ジェームズ・ケイン/著 飯島 正/訳
装幀/内間安(王星)あんせい
↑王偏に旁が星の字がない
荒地出版社●
●1953年5月20日初版発行●B6判(128×182ミリ) 171頁 200円
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http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html
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東郷青児の装幀本(1)新潮社長篇文庫『孤独なる女』 ― 2012/09/16 17:05

この「長篇文庫」というシリーズ企画は装幀のフォーマットが一様でないので、画面構成、タイトル文字まで、挿画を担当した画家に任されたいたようである。
すべて珍本の部類。この本の奥付あとの既刊目録には12点掲載されているが、確か20点ぐらいは出たのではないか、私はこの本しかまだ直に手にとったことがない。
フランスから戻り、一躍人気者になった後、しばらく翻訳など文筆にかまけていた時代の仕事で、青児調はまだしもながら、いい出来と思う。
† 孤独なる女
吉田絃二郎/著
東郷青児/挿画
新潮社●長篇文庫
●昭和5年9月17日発行●120×180ミリ 並製 321頁 50銭
装幀アットランダム(18)テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」 ― 2012/09/22 10:48
テネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」初訳本である。ブロードウェイで大当たりをとり、映画化されたこともあり、後にこの本は新潮文庫になった(現在あるのは小田島先生の新訳)。
版元はつぶれる前の創元社で、まだ、ミステリなど出していない大阪にあったころの出版で、昔日感無量である。
永らく探していて、お目にかかれなかった本。手に入れて、またビックリした。
装幀はかの「カルバドスの唇」の吉原治良。ちょっとゴチャゴチャして、装幀としてはどうかという画面だが、もの珍しいさも手伝って取りあげることにした。
† 欲望という名の電車
テネシー・ウィリアムズ/著 田島 博&山下 修/共訳
装幀/吉原 治良
創元社●
●1952年10月10日発行●B6判 上製カバー 320頁 300円
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