石岡瑛子の装幀、モラヴィア「パラダイス」 ― 2013/09/01 08:26
一九七〇年原書が出たモラヴィアの短篇集の翻訳である。後書きによると欧米で大いに読まれたらしい。
この角川書店のこの翻訳シリーズは全十五巻であるが、当時の売れっ子のイラストレーターがデザイナーが装幀を担当していて、いずれも眺めていて楽しいカバーとなっている。
モラヴィアは一時期持て囃されて、その代表作はほとんど日本語になっていると思うが、今では、すっかり忘れ去られたようで、寂しい限りである。こんな短篇集があったことすら、覚えている人も今ではいないのかも知れない。
ちなみにモラヴィアの短編集で、まるごと日本語になった本はこれだけと、訳者は後書きで胸を張っておった。
† パラダイス
アルベルト・モラヴィア/著 大久保昭男/訳
石岡 瑛子/装幀
角川書店●海外純文学シリーズ(3)
●昭和47年3月20日初版 発行●四六判(128×188ミリ)・カバー 274頁 890円
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和田三造、戦後の仕事 『お吟さま』の装幀 ― 2013/09/05 09:45
この画面構成は完璧である。加えて渋さと静謐さ、小説世界を見事に映像化している。うるさ方の今東光も満足したことだろう。
カバーをとった表紙のデザインも悪くはないが、このカバーの良さには及ばない。
なるべくカバーの保存状態のいいものを友人から借りたので、初版ではなく同年であるが、新社になった淡交新社版を複写した。
この後版、厚さもカバー&本体も、みんな初版と同じように見える。間違っても仕方がない。
† お吟さま(淡交新社版)
お吟さま/著
和田三造/装幀
淡交新社●
●昭和32年5月25日発行(淡交社版・初 昭和32年2月20日)●B6判・カバー 191頁 240円
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モダンアートの人 中井幸一の装幀『現代芸術はどうなるか』 ― 2013/09/23 15:33
中井幸一といえば、かって電通でのその辣腕ぶりが有名だが、戦後の美術界での活躍も忘れてはならない。ご高齢の今も毎年のモダンアート展には出品を重ねておられる。
この装幀も電通時代の手遊びだろうが、空間構成。脂ののったところ、出来映えは憚りながら文句のいいようがない。
先生にどのくらいの装幀作品があるのか資料がなく心許ないが、これはそうしたものの第一級の一つには間違いない。この本に出会えたことがうれしい。
† 現代芸術はどうなるか
佐々木基一/著
装幀/中井 幸一
講談社●ミリオン・ブックス
●昭和34年1月27日発行●112×172ミリ 243頁 180円
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