恩地孝四郎の仕事(2)異端の作品、トロッキー『自己暴露』2012/10/23 07:45

箱・装幀/恩地孝四郎

この箱のデザイン、言われなければ、どなたも恩地孝四郎の作品とは思うまい。

恩地先生の長い装幀家としてのキャリアを辿ると、非常に違和感を覚える作品に遭遇する。このトロッキーを含む、昭和五年に出版された翻訳書である。

氏の仕事は生涯を通して、気品ある静かな佇まいを見せて、多くの傑作を残したが、この時期に限り、うねるような荒々しい感情が横溢し、それは虚仮威し的ですらあるのはなぜか。

古典的作品群にあって、この時の破調はどうしたことか、謎である。 当該本には装幀者の名前は入っていないから、息子さんの本で、先生の作品とされていなければ、誰しもよくある装幀者不明本にするところである。


† 自己暴露


 トロッキー/著 青野季吉/訳    装幀/恩地孝四郎

 アルス(ARS)●

 ●昭和5年7月22日発行●四六判(125×186ミリ) 523頁 1円80銭

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