こんな文庫・あんなカバー(14)ダシール・ハメット『血の収穫』の不思議? ― 2012/05/01 06:51

「和田 誠」の文庫カバーである。彼に、こんな創元推理文庫の仕事があるとは思わなかった。正直、この本を偶然、手にとるまでは。
そんな、こんなで、かなり昔の『和田誠装幀の本』を見てみたが。この文庫は掲載されていなかった、……なのが不思議。
タッチは彼の日活名画座のポスター風で、すこぶる上出来の挿画だと思うのは私ばかりではあるまいに……、何が気にいらなくって、この装幀本をゴミ箱に捨てたのか不思議である。
† 血の収穫 創元推理文庫
ダシール・ハメット/著 田中西二郎/訳●和田 誠/カバー
創元推理文庫 1959年6月20日 初版 1973年3月23日 14版発行
A6判(105×148ミリ) 314頁 180円
装幀アットランダム(13)キャグニー自伝の異装本 ― 2012/05/08 09:32

前回に続いて、和田誠の装幀本。
前述の『和田誠装幀の本』を見ていて、もう一つ気が付いたことがあった。後半120頁目(ノンブルがない本で数える手間が腹立たしい)。
キャグニー自伝のカバー絵が昔買った本と印象が違った見えたのだ。発行年と出版社名からすると、どうも掲載本は後版らしい。
気になって確認したいと思ったが、それからが大変。家中をひっくり返す騒ぎで、ようやく見つけました。
五年前のが最初の絵。丹念に絵も描かれていて、こっちの方が上出来である。良かった。
† 汚れた顔の天使—ジェームズ・キャグニー自伝
ジェームズ・キャグニー/著 山田宏一&宇田川幸洋/訳
装幀・イラスト/和田 誠
出帆社●
●1976年11月10日発行●四六判 並製カバー 361頁●1450円
装幀アットランダム(14)昭和の絵師、「上村一夫」がいた ― 2012/05/11 07:43
装幀作者不詳本(4)柳瀬正夢だったか「ホワイト・ファング」 ― 2012/05/16 11:04
この翻訳本には装幀者名の記載はない。扉、表、裏表紙のどこにも サインや装幀者を窺えるマークなどもない。
たまたま「装丁家で探す本」という本を図書館で見つけ、柳瀬正夢の作品と分かった。
このかわじもとたか氏の労作は古書目録などが出典らしいので、正確を期すため正夢の展覧会目録を閲覧することにした。
すると、1986年に朝日新聞が開催した展覧会(大正アバンギャルドの旗手 柳瀬正夢展 その知られざる青春)の年譜に記載があった。しかし、現物は出品されなかったらしく目録に書影は載っていない。
ほかの展覧会目録にはその記載もないものがあったり、書影が載ってない場合もあり多少不安であるが、一応正夢装幀としておく。
† ホワイト・ファング
ジャック・ロンドン/著 堺 利彦/訳
装幀/柳瀬正夢
叢文閣●
●大正14年10月21日初版発行●四六判(130×190)ミリ 349頁 1円60銭
↓角川文庫の翻訳文学はこちらへ/
http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html
シムノンのメグレ本の書誌についてはこちらへ/
全集&叢書の装幀(1)岡鹿之助の瀟洒な仕事 ― 2012/05/21 08:39

最近のニュースで、大阪の警察署の倉庫から岡鹿之助のタブローが出てきたとあった。新発見らしい、評価額もすごかった。昔のことで寄贈された経緯は分からないという。
そう言えば、昔、先生は何か子供の本の装幀をしていたなあと、探してみたら、これが出てきた。文庫サイズの子供向けリライト叢書である。
版元は小峰書店で、このシリーズで、何冊刊行されたのかは知らないが、本書の最終ページの近刊予告をみると、「アルルの女」など有名作品が一五点掲載されていた。
そのラインアップをみると、このドイツの作家は突出した変わり種といっていい。ヘッペルなんて、ご存じでしたか?
知らなくても、岡先生の素敵な本で世界文学入門できたのだ。昭和26年頃の子供は幸せというべきか。私はちょうど小学校へ上がる前、まだ、この本は手元にあったとしても、当然読めなかった。
† ギイゲスと魔法の指輪 少年少女のための世界文学選(6)
ヘッペル/著 中谷 博/訳 岡 鹿之助/装幀
小峰書店 昭和26年4月10日 発行
文庫判(105×154ミリ) 202頁 70円
↓この本ヤフーで処分します/
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k148453954
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