ビュフェの絵がカバーになった『ふらんすエチケット集』2016/07/17 09:37

ベルナール・ビュフェ/カバー絵

 この本を手に取るまで、クセジュにカバーがついた本があったとは、知らなかった。その上、そのカバー絵が、かのベルナール・ビュフェで、また驚いた。

 一時期、日本でも人気を得たと思うが、日本語のちゃんとした画集がないのが不思議? クセジュで出会えたことがうれしい。

 描かれたセーヌとノートルダム寺院、在り来たりなモチーフだが、そこに女性を配して、実にいい。


† ふらんすエチケット集


 ジャン・セール/著 三保 元/訳   

 ベルナール・ビュフェ/カバー絵

 白水社●文庫クセジュ

 1962年3月10日初版発行●新書判 カバー 151+5頁 150円  


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


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伊丹十三の自装本「ヨーロッパ退屈日記」2013/12/06 07:19

伊丹 十三/装幀&カット

昔の東京オリンピックの翌年出た本。彼がまだ役者だった頃のものである。カバー裏に山口瞳による伊丹十三論がある。氏は伊丹十三と、彼が十九の頃から付き合いがあったそうだ。

今となって、この人物評を読むと、自死を選択してしまうその後を思わせるものがあって、山口瞳のある種の鋭さにびっくりしてした。

表紙のコラージュはご本人による。本文に挿入されている著者自身による挿絵もたくさんあって楽しい本であるので、今にして思えば余計悲しい。再婚した宮本信子さんの若き日の名古屋栄の地下街を舞台にしたNHKのドラマが思い出された。

彼女も初々しく、瞳さんが十三に会った一九歳ぐらいではなかったろうか。気分はちょっとセンチメンタル。この本を少し読み直してみよう。


† ヨーロッパ退屈日記


 伊丹 十三/著 

 伊丹 十三/装幀&カット

 文藝春秋●ポケット文春550

 ●1965年3月20日初版 1971年5月20日八刷発行●新書判(112×174ミリ)・カバー 258頁 300円  


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メグレ物の装幀 高井貞二の仕事『水門』2013/11/27 09:05

装丁/高井 貞二

この春秋社の本では以前、装幀を三芳悌吉氏が手掛けられたものを紹介したが、この「水門」の表紙もいい。眺めていると、フランスで運河の旅をしている気分になれる。

作者は高井貞二氏。迂闊ながら、和歌山県立美術館で二年前に回顧展があったことはネットで調べるまで知らなかった。

戦前のこのシムノン・シリーズの翻訳は十一冊あって、今となっては全部で珍本。そのうち六冊がメグレ物と思われる(古書肆・芳林文庫・探偵趣味三号による)。

眺めるだけならこっちでも構わないが、読むことを想定すると、河出の五十巻本を推薦する。(こっちも絶版だが、図書館にはある)。


† 水門


 ジョルジュ・シメノン(シムノン)/著 伊東鋭太郎/訳

 装幀/高井 貞二

 春秋社●

 ●昭和12年5月20日発行●四六判 187頁 60銭


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●パリの本(14)中村光夫の「戦争まで」2012/12/13 07:21

青山二郎/装幀

 文芸評論で一時代を築いた中村光夫の本である。若き日のパリ滞在記といったところか。先生筋の小林秀雄あての手紙という形式で書き始められている。

 装幀はかの青山二郎。あっさりとした表現で、腕達者な作品というべきか。品のいい仕上がりになっている。

 乱作気味のこの装幀家、あんまり好きではないが(はっきり言えば嫌いかな)、これなど我慢のうちというべきか、パリの本だから掲載した。


† 戦争まで


   中村光夫/著●青山二郎/装幀

   実業之日本社●昭和17年7月23日 発行

   B6判・箱●465頁●2円80銭

雑司が谷タイム・スリップ その22012/07/04 11:12

鬼子母神参道・高田書店

君は知っているか、雑司が谷「高田古書店」を! 


†鬼子母神参道入り口、ここに古書店があった

 昔、鬼子母神参道の三叉路に古本屋があった。写真を撮影した一九八〇年頃は、すでに息子さんの代になり新刊も扱う店になっていた。

 いつ開業されたのかは分からないが、私が小学生の頃はすであったし、造作も立派で、確か付近は戦災に遭わなかったから、戦前からの店かも知れない。

 高校生の頃、このお店の均一本に「船乗りプクプクの冒険」があり、神田の某書店で引き取ってもらった覚えがある。

 なにせ、ご近所、界隈に古本屋があるのはいいもの。賑わう通りに、ちょっと醸し出される、なんとものんびりとしたムードを懐かしい。

 最近ではこの店跡を中心に、時々古本を中心としたフリーマーケットが開かれているのは、高田書店のご縁かも知れない。