『メグレ警視のクリスマス』の原作初版の装幀2016/03/13 11:35

装幀者不明

即売展で久々の収穫があった。

1980年に邦訳されたジル・アンリ氏の労作『シムノンと、メグレ警視』によると、この作品はアメリカのカリフォルニアで1950年に執筆されたとある。だとすると、この本はこの作品の初版本ということになる。

ペーパーバックスだし、あんまり好きな装幀でもないが、これは掘り出しだと思って購入した。この装幀でのシリーズは何冊出ているのだろう、この後、『メグレと政府高官』まで、カリフォルニアで執筆と、アンリ氏は書いているから、その辺りまでは同じなのだろう。

装幀としては満足出来るものではないが、折角の幸運を喜んで、スキャンした。


† メグレ警視のクリスマス(Un noel de de Maigret)


 ジョルジュ・シムノン/著   

 装幀者不明

 プレス・ド・ラ・シテ社●

 1951年第一刷発行●B6判変形(125×182ミリ) 222頁 定価なし  


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シムノン『霧の港』! 勝呂 忠の具象画作品が珍しい。2015/12/27 11:23

勝呂 忠/装幀

長年、勝呂忠の抽象画のブックデザインで親しまれたポケミスだが、最初はこんな感じの具象画で出発したのか?

この本の他に五百番台の非ミステリ物だが、『黄金』もサボテンがある荒野が描かれた勝呂 忠の具象画だった。

ちなみに『黄金』は私の好きなハンフリー・ボガート主演で映画化された。こっちの装幀画は巨匠には失礼だが、今ひとつの出来と感じられて、残念である。


† 霧の港


 ジョルジュ・シメノン(シムノン)/著 松村喜雄/訳   

 勝呂 忠/装幀

 早川書房●世界探偵小説全集(H・P・B)●

 昭和32年1月15日印刷発行●新書判 182頁 130円  


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この才能を顕彰したい、石垣栄蔵の『港の酒場で』の装幀2015/10/18 11:43

石垣 栄蔵/装幀

昔、旺文社文庫というのがあった。最初の頃は箱付で。何か学習参考書みたいだったが、そのうちカバー付に改められて、著名な画家の方々の作品も、その表紙を飾り、楽しい文庫になった。

この文庫にはシムノンのメグレもの作品が四点あって、カバー絵・作家名に「石垣栄蔵」とあった。最初の「黄色い犬」は画風が違うが、それ以降の三冊の表紙にはすっかり魅せられてしまった。

お名前を存知上げない方なので、最近になって、いろいろ調べて見たら、『ロマン・ロラン讃歌』という本にたどりついた。私のパリ行き携行本、角川文庫『パリ文学地図』の著者、蜷川譲先生の編著の本で、そこに弟さんの兄への追悼文が掲載されていた。

こんな好い作品を作る人が、不遇のうちに、若くして亡くなられる日本の画壇に、何か理不尽の思いがして、悲しかった。この方のタブローを一度は見てみたい。もう散逸してしまったのだろうか、非常に残念である。


† 港の酒場で


 ジョルジュ・シムノン/著 木村庄三郎/訳  

 石垣 栄蔵/装幀

 旺文社文庫●

 昭和52年9月20日初版発行●文庫サイズ カバー 192頁 220円  


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カバー本の装幀も捨てがたい雄鶏ミステリーです2015/02/09 09:55

野口久光/装幀

雄鶏ミステリーといえば野口久光の映画ポスター風のイラストの表紙をすぐ思い浮かべるが、これとは別に薄い紙の共通デザインのカバーで包んだボール紙装本も同氏の装幀で出ている。

各巻を違ったイラストで飾るソフトカバー本のほうが人気があるようだが、共通カバーも捨て難いのでスキャンしてみた。このシリーズで全巻カバー本もあるのでしょうか?

今は音沙汰のない芳林文庫の目録『探偵趣味』を見ても分からなかった。


† 或る男の首


 ジョルジュ・シムノン/著  永戸 俊雄/訳  

 野口久光/装幀

 雄鶏社●ondori MYSTERIES

 昭和25年5月25日初版発行●B6判 241頁 160円  


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なぜか河出メグレシリーズにチグハグ本?2015/01/17 09:25

水野良太郎/装幀

メグレファンに大歓迎された河出の「メグレ警視シリーズ」が完結してから数年後、その新装版が順次出版された。

初版のビニールカバーには難点があった。どうしても経年で縮んでしまい薄い表紙が撓んでくるのだ。その解消ばかりではないだろうか、新装版はビニールカバーはなくなって、本体表紙と同じイラストが印刷されたカバーで装本されるようになった。

数年前何気なしに、古本屋でその新装版の一冊を手に取ったら、表紙はどうも見かけないイラストだった。カバーを剥がしてみると、表紙は全然別の絵だった。その絵は初版と同様の馬車が描かれたもの。なぜ、別のイラストで新装版カバーを作らなければいけなかったのだろう。不可思議だ。

調べてみると、全五十巻のうち、三冊だけこのようなものがあった。そのうちの一冊、『メグレの初捜査』の新しいイラストはモンマルトルのモン・スニ通りの『ミミ・パンソンの家』のところが描かれていた。この辺りはユトリロが何度も描いていて、パリ旅行の団体客なら一度は案内される観光スポットである。メグレ好きでなくても楽しいし、歩いてみて損はしないと思う。


† 新装版『メグレの初捜査』


 ジョルジュ・シムノン/著 萩野弘巳/訳

 水野良太郎/装幀

 河出書房新社●

 ●昭和58年8月25日発行●新書判 (113×175ミリ)カバー 269頁 680円


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