松本竣介の装幀本があった!2014/05/25 15:14

装幀/松本竣介

 初めて見る本であった。表紙にパリの文字。目次を見ると「装幀・松本竣介」の文字。かの松本竣介がパリの絵を描いていた? 加えて、装幀を?

 意外なことに調べてみると、松本竣介はこの版元の南北書園の本を数点装幀していた。年譜を見ると、彼はパリへ行ったとはないので、著者の芹澤の持ち帰った絵葉書などで、この煙たなびく家並み描いたのだろうか。

 ともあれ、味のあるパリ風景スケッチである。ファンが多い画家が手掛けた貴重な一冊を手に入れたことはうれしい。


† パリの揺籠


 芹澤光治良/著

 装幀/松本竣介

 南北書園●

 ●昭和22年10月15日発行●B6判(121×181ミリ) 218頁 六拾円

古澤岩美が装画、芹沢光治良『巴里に死す』2013/07/04 09:49

古澤岩美/カバー装画

古澤岩美に文庫本のカバー装画があった。どこかパリの街角を描いたらしい。右側に降りる階段がある、賑やかな観光地。パリムード溢れるスケッチ、さすがである。

ここはパリのどこなのだろうかと、いろいろ写真集をひっりかえして見たが、ここがどこか特定出来なかった。

この手慣れた筆致で描かれた風景。どこかにありそうだが、どこでもない空想の街角なのだろうか?。どなたか、ここを歩いたことがありますか?


† 巴里に死す


 芹沢光治良/著

 古澤岩美/カバー装画

 新潮文庫●

 ●昭和29年6月29日発行/昭和43年7月10日26刷改版/昭和54年11月10日●文庫判 214頁

 220円


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ//

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の書誌についてはこちらへ/

http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/


●パリの本(14)中村光夫の「戦争まで」2012/12/13 07:21

青山二郎/装幀

 文芸評論で一時代を築いた中村光夫の本である。若き日のパリ滞在記といったところか。先生筋の小林秀雄あての手紙という形式で書き始められている。

 装幀はかの青山二郎。あっさりとした表現で、腕達者な作品というべきか。品のいい仕上がりになっている。

 乱作気味のこの装幀家、あんまり好きではないが(はっきり言えば嫌いかな)、これなど我慢のうちというべきか、パリの本だから掲載した。


† 戦争まで


   中村光夫/著●青山二郎/装幀

   実業之日本社●昭和17年7月23日 発行

   B6判・箱●465頁●2円80銭

明治の装幀を瞥見する(1)久保田米斎の紅葉「鐘楼守」2012/06/20 16:46

装幀/久保田米斎

辛うじて持っている明治の本の一冊。何しろ古い本だから、状態はあまり芳しいものではないが、歌舞伎のパンフレットを思わせる装幀である。

有り難いことに裏表紙の絵に「べヰサイ」の落款があったので、装幀者を特定できた。

久保田米斎。不勉強でこの人の来歴、業績などは知らないし、他の装幀本も手にとったことがない。

きっと、これからもこの本が紹介されこともないだろうから、まあ、スキャンした次第である。


† 鐘楼守(上下)


 ヴィクトル・ユゴオ/著 尾崎徳太郎/訳

 装幀/久保田米斎

 早稲田大学出版部●

 ●明治36年12月18日発行●B6判(148×220ミリ)

 (上巻)367頁 90銭 (下巻)517頁 1円


↓角川文庫の翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の書誌についてはこちらへ/

http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/

パリの本(13)何とも贅沢な「脚のある巴里風景」!2012/06/18 11:15

阿部金剛/画・装幀

 カバーは和紙仕立て。ちょっとばかり凝った作りであるからして、もしかして限定版かと思いそうな本。別刷りの挿絵も6葉ある。

 作者・岩田豊雄は劇作家で、戦後は獅子文六の筆名でベストセラーを連発したが、もう読む人もないだけでなく、知る人もないのは時代とは言え残念なことである。

 巴里のことをいろいろ書いていて、その何れも面白い。すべて古書で読むしかない、これも残念至極である。


† 脚のある巴里風景


   岩田豊雄(獅子文六)/著●阿部金剛/画・装幀

   白水社●昭和6年7月10日 発行

   B5判変型(143×197ミリ)●224頁●1円50銭