”高岡徳太郎画伯”の装幀本を見つけた2015/05/03 11:14

高岡 徳太郎/装幀

ある日の古書展でのこと。たぶん箱がある本であろうが、なかったお蔭で、きれいな背が目に止まり、この本を見つけられた。

目次の終わりに装幀者名がちゃんと書いてあった。高岡徳太郎画伯であった。戦前から獅子文六の挿画などで知られた方だが、こんな装幀もなさっていたのだ。

色といい、その画面構成といい、文句のつけようがない。まして、初めて見る本であったので、喜んで購入して、スキャンして、また唸ってしまった。


† 理科の話


 柚木 卯馬/著 

 高岡 徳太郎/装幀

 童話春秋社●

 昭和16年5月30日初版発行●B6判 264頁 価格 奥付部分擦れにより不明  


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モダン・アートの面目躍如、『血ぬられた言論』の装幀!2015/05/07 19:39

中井幸一/装幀

また、珍本を見つけてしまった。これも前回の『文壇えんま帖』同様、後年、広告界で辣腕を揮う中井先生の電通入社の頃のお仕事。

ご本人はこんな古証文を出されて、はなはだご迷惑かも知れないが、一ファンとしてお披露目したい。

戦前の国家的言論弾圧の詳細な告発本である。ストレートな表現で、その本の雰囲気が感じられる装幀である。素晴らしい。何度眺めてもいい。


† 血にぬられた言論


 黒田 秀俊/著  

 中井幸一/装幀

 学風書院●

 昭和27年10月20日改訂版発行●B6判 298頁 220円  


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版画家、品川工の装幀本『芽むしり 仔撃ち』2015/05/16 14:55

品川 工/装幀

確か駒井哲郎も大江健三郎の本の装幀をしていたと思うが、この版画もその作品を凌駕する出来映えである。書棚に飾っておいても、見飽きることはない。

こういった本に出会えることがなくなった今日この頃の新刊書店は実につまらない。

新聞に書いてあった。池袋からリブロがなくなるらしい。端末で読書が出来る時代、いい本がいい書店とともに無くなっていくことも、また寂しいことである。


† 芽むしり 仔撃ち


 大江健三郎/著   

 品川 工/装幀

 講談社●

 昭和33年6月25日第一刷発行●四六判 箱入り 245頁 280円  


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『天草』 ! また、吉田貫三郎の本を見つけた !2015/05/24 13:36

吉田 貫三郎/装幀

作者の榊山潤には申し訳ないが、読むつもりで買った本ではないから、この内容については云々出来ない。

しかし、ザッと目を通して、筆者の後書きと装幀を見れば、キリシタンの禁教、統治と宣教の問題などが書かれていることが推察出来る。

装幀に関して言えば、箱はともかく、本体はかなり描き込まれていて、一幅の屏風絵見るようで、流石と思わせる一級品である。

奥付裏の広告ページを見ると、この叢書シリーズ、この他に伊藤整、阿部知二、小山いと子など綺羅星! 十八作品掲載されていた。 どんな装幀か、みんな見てみたいものである。


† 天草


 榊山潤/著   

 吉田 貫三郎/装幀

 河出書房●書下長篇小説双書

 昭和16年9月28日発行●B6判 箱入り 252頁 1円80銭  


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とても古澤岩美の本! とは思えない本!2015/05/30 19:55

古澤 岩美/装幀

 一見裁縫箱を広げたイメージの表紙絵である。早く結婚して、子供を作れということか。戦後の女体を激しく描いた画風はこの装幀からは想像出来ない。

 その上、裏表紙には大東亜共栄圏の活字が踊っている新聞まで、ご丁寧に描かれたいて、戦争に突入した時代を窺わせる。まあ、それ以上にこの本は国策に添った内容の文学作品だったのだろう。

 まあ、平成の御代には超時代離れしてそうな珍本には違いないが、まずは読むというより、その絵を楽しむべきなのかも知れない。


† 結婚創造


 南川 潤/著   

 古澤 岩美/装幀

 淡海堂出版●

 昭和17年2月20日初版●昭和18年3月20日五版(10,000部)発行●B6判  323頁 1円30銭  


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