横尾忠則の仕事 『グリニッジの光りを離れて』 ― 2014/07/09 17:57
昨年、大御所デザイナーの横尾忠則氏の装幀の本が出来た。たまたま近くの図書館に収蔵されていたので、借り出して見た。
氏の長年にわたる仕事の集大成だから、版も大きく分厚く重い本であった。圧倒的な迫力である。昔むかしの、寺山修司の本などが出てきて懐かしかった。
中でも、先生の作品らしくないのが、ご紹介するこの本の装幀だった。ご自身の語ることによると、画家宣言をした1980年、著者からの依頼の仕事であったという。非常に絵画的で、それまでの横尾調は全くない、異色の作品である。
「全装幀集」には、カバーの表面しか複写されていなかった。裏表紙まであったほうがいいので、以前、買ってあった所持本で、裏面までスキャンした。
† グリニッジの光りを離れて
宮内勝典/著
装幀/横尾 忠則
河出書房新社●
●1980年11月4日再販発行(初版同年8月25日)●四六判 196頁 980円
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横尾忠則の自装本「一米七〇糎のブルース」 ― 2014/07/12 18:01
向かうところ敵なし、そんなイラストレーターでした。一九七〇年代の先生は。確かに。そんな時代を感じさせる文庫本である。
彼が装幀、イラストレーションを担当した寺山修司の自伝『書を捨てよ。町へ出よう』に多様された、ピンクガールズを表紙に持ってきたところを見ると、余程のお気に入りのキャラクターだったのだろう。
裏表紙の自作自演の映画ポスターも異常な自己顕示欲を見せて、また彼の面目躍如。勢いづく日本、あの時代が今となっては不思議と懐かしいのは、あながち、私ばかりではないのかも知れない。
† 一米(メートル)七〇糎(センチ)のブルース
横尾忠則/著 カバー(装幀)
角川文庫●緑410-1
●昭和54年8月10日再版(初版同年4月30日発行) カバー 226頁 260円
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横尾らしくない、蜷川幸雄の本「BGM はあなたまかせ」 ― 2014/07/26 17:05
横尾忠則の自著「全装幀集」によると、この頃はドローイングのストックで、 適当に注文仕事をこなしていたらしい。
ビルの林立で、躍動する東京を描いたといったところか。 注目すべきは装幀よりも、作者の蜷川幸雄である。
こんな本と書いていたとは知らなかった。今では演劇界の重鎮といっていい著者だか、こうした若き日の文章も、また、読み返してみると面白い。
† BGM はあなたまかせ
蜷川幸雄/著
横尾忠則/装幀
サンケイ出版●
●昭和57年12月20日1刷●カバー
B6判 238頁 1500円
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絢爛、棟方志功の世界が広がる『駿河大納言』 ― 2014/07/28 07:35
聞いたことのない著者。聞いたことのない書名。しかし、本の装幀の出来は素晴らしい。外装ばかりでなく、帙も扉も見事であった。
装幀者が棟方志功であるから当たり前だが、これまで、その手がけた装幀本もいろいろ見る機会があったが、どれも、あまり好きにはなれなくて、購入することはなかった。
しかし、つい、その著者とか、その内容より、装幀に惹かれて、まずは読む当てのない本を買ってしまった。こんなことは初めてのことである。
それがこの本である。
† 駿河大納言
鈴木助次郎/著
棟方志功/装幀
七寶社●
●昭和32年12月15日発行●四六判・帙入 316頁 280円
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