村山知義の仕事(2)自装本『新劇の再建』 ― 2013/11/10 16:33
戦後すぐに出た本なので、なにぶん粗末な作りの本だが、こうして表紙だけでなく、背と裏表紙と一緒に眺めてみると、廃墟から立ち上がる日本と新劇の行方をだぶらせて、なかなか。
内容的にはのちの著書に譲るとしても、敗戦後、すぐにこうした本をまとめる意欲やすばらしい。
私にとって、この本は読むより眺める本。新劇史に興味がないから仕方がない。なにしろ、先生の『忍びの者』すら、まともに読んでいない私、ましておやである。
注:掲載後、本書には昭和22年11月15日発行、定価100円の同一装幀の前版があることが分かった。出版社は同じ、カバーがあったのかは確認出来なかった。
† 新劇の再建
村山知義/著
村山知義/自装
弘文社●
●昭和25年10月10日発行●B6判 416頁 200円
↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/
http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html
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大御所の装幀! 梅原龍三郎の『大家族』 ― 2013/11/16 07:54
上下2冊本、同一装幀である。訳者の一人は巨匠の息子さん、若くしてなくなったらしい。
息子さんのために一肌脱いだのだろうか、題字も合わせて雄渾な筆遣いはさすがである。
この本、いけないことだが時々表紙を眺めるだけで、読んでみようと思ったことはない。
† 大家族 上巻
モオリス・ドリュオン/著 市原豊太&梅原成四
梅原龍三郎/装幀
創元社●
●昭和25年8月25日発行●四六判 221頁 180円
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メグレ物の装幀 高井貞二の仕事『水門』 ― 2013/11/27 09:05
この春秋社の本では以前、装幀を三芳悌吉氏が手掛けられたものを紹介したが、この「水門」の表紙もいい。眺めていると、フランスで運河の旅をしている気分になれる。
作者は高井貞二氏。迂闊ながら、和歌山県立美術館で二年前に回顧展があったことはネットで調べるまで知らなかった。
戦前のこのシムノン・シリーズの翻訳は十一冊あって、今となっては全部で珍本。そのうち六冊がメグレ物と思われる(古書肆・芳林文庫・探偵趣味三号による)。
眺めるだけならこっちでも構わないが、読むことを想定すると、河出の五十巻本を推薦する。(こっちも絶版だが、図書館にはある)。
† 水門
ジョルジュ・シメノン(シムノン)/著 伊東鋭太郎/訳
装幀/高井 貞二
春秋社●
●昭和12年5月20日発行●四六判 187頁 60銭
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