シリーズ本の装幀(1)小出楢重『経済風土記・四国の巻』 ― 2013/01/22 08:32
たかが装幀ということなかれ。この本を箱から取り出して、わが目を釘付けにされた。昨日印刷されたように色鮮やか、とぼけた味わいのある絵柄、誰の手になるものであろう?
裏表紙に「重」サインが目についた、次に表を見ると「楢」。奥付の昭和5年からすると、若くして死んでしまった楢重最晩年の仕事である。
四国だからカメなんて、ちょっと短絡的な気もするが、剛胆な筆捌が見事で、そんなことを忘れさせてくれる。脱帽して購入した。
† 経済風土記・四国の巻
大阪毎日新聞・経済部/編 装幀/小出楢重
刀江書院●経済風土記
●昭和5年3月15日 初版/3月18日 再版●四六判(125×186ミリ)箱 532頁 貳円
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こんな人が装幀を!(四)岡倉士朗の手すさび、『街の風景・地下鉄』 ― 2013/01/26 12:35
岡倉士朗といえば、むかし昔の舞台演出家として著名だが、若い頃(大東亜戦争前)戯曲集の装幀もやっていたのだ。
先生の演劇上の履歴や業績に不案内な私には何ともいえないが、新築地座にいたことからすると、このライスの戯曲集は内容からして、舞台かけるための翻訳してもらっての出版だったか。
玄人はだしの腕? まあ昭和初期の雰囲気を良しとして、まずは及第。
† 街の風景・地下鉄
エルマー・ライス/著 杉木 喬/訳
装幀/岡倉士朗
健文社●
●昭和11年8月20日発行●四六判(128×188ミリ) 308頁 1円
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恩地孝四郎の仕事(3)日本児童文庫『劇の話・映画の話』 ― 2013/01/30 09:21
例の恩地先生の「装本の技」にはこの本の箱はなかったし、モノクロ写真での掲載だったからスキャンしてみた。箱の絵はこの本の口絵で紹介されていたフランスのアニメーション『やぶにらみのぼうくん』からの借用と思われる。
本体の絵の具による抽象模様はクラシックで戦前の恩地調に回帰か。背の文字と平の飾り模様は金押しと豪華である。奥付に印刷者の名前とともに金版彫刻者の名前まで入っているのに正直びっくり。この念の入れようには本作りを大事にした姿勢を感じた。
† 劇の話・映画の話
河竹繁俊・飯島 正/編(著)
装幀/恩地孝四郎 金版彫刻/坪井康男
アルス(ARS)●日本児童文庫(35)
●昭和30年2月28日発行●四六判(125×186ミリ) 226頁 220円
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