間違った本&出版(1)ユトリロと古きよきパリ2011/06/22 09:46

「ユトリロと古きよきパリ」カバー

†ユトリロと古きよきパリ


 井上輝夫、横江文憲、熊瀬川紀 著

 新潮社 とんぽの本 1985年11月25日 発行

 サイズ(166×216ミリ) 119頁 カバー


 カバーの説明によると、表紙の写真はサン=リュスティック街とされ、それぞれ絵葉書(左上)とユトリロの作品(中央)、現状(右下)とされていますが、この方向にサン=リュスティック通りが突き当たる通りは、モン・スニ通りで、サクレ=クール寺院にはぶつかりません。正しいのは現状の写真の説明だけです。

 表紙左上の絵葉書の写真は、同書の97頁に掲載のアジェの写真と同じ場所と思いますが、そのアジェの写真のキャプションはラ・ボンヌ通りとしていますが、これも間違いで正しくはシュバリエ・ドゥ・バール通りです。

 あと一か所。81頁の現在のコルトー通りは間違い。正しくはサン=ヴァンサン通りです。残念!

◎最後にささやかな感想

 フランスやパリを訪ねるため、旅行案内書や作家の評伝の類の本はいろいろと買ってきました。

 現地に行って、実際に歩いてみると、それらの掲載されている写真のキャプションや地図に間違いが見つかることがあります。

 日本に戻ってからその点を指摘したハガキを出したこともありますが、出版社によってその対応は様々でした。

 一番しっかりしていたのは、昔の「旅」を出していた交通公社出版事業局でした(しばらくして、再版された修正本が担当者の丁寧な返事を添えられて、贈られて来ました)。

 最近見つけた間違いは、初版が1985年の『ユトリロと古きよきパリ』。新潮社のビジュアルシリーズ・とんぽの本の一冊でした。

 私の持っているのは1988年の5刷ですが、現在は何刷りになっているか知りませんが、その後何度も増刷を重ねたらしく、今でも出版社に在庫はあるようです。

 まあ、パリのモンマルトルを一度も歩いたことのない人には決して、分からない間違いでしょうが、この本の著者たちを含めて、周辺の研究者が疑問を持たないわけがなく、初版以来、二十年以上経ちましたけれど、いままで一度もこの点を指摘されなかったとしたら、それこそ大いなる驚きです。

オードリー・ヘップバーンの本(9)2011/06/22 22:24


† 尼僧物語

   英和対訳シナリオ・シリーズ(81)

  赤坂一郎 訳

  英和書房 昭和34年7月31日 発行

  B5判サイズ 55頁 100円


 オードリー・ヘップバーンが尼さんになったのだから、この作品は当時話題になったと思いますが、その頃中学生になっていたはずなのに封切館で見ることはありませんでした。

 あれから半世紀。すでオードリーも亡くなり(何年経ちましたか?)、つい昨年、古本市でたまたま本作品のDVDを見つけて、やっと『尼僧物語』を鑑賞することが叶いました。

 尼僧姿の彼女も美しかったし、僧院生活の一端も垣間見ることができる、なかなかの作品でしたので、しばらく幸せな時を過ごすことができました。