この才能を顕彰したい、石垣栄蔵の『港の酒場で』の装幀2015/10/18 11:43

石垣 栄蔵/装幀

昔、旺文社文庫というのがあった。最初の頃は箱付で。何か学習参考書みたいだったが、そのうちカバー付に改められて、著名な画家の方々の作品も、その表紙を飾り、楽しい文庫になった。

この文庫にはシムノンのメグレもの作品が四点あって、カバー絵・作家名に「石垣栄蔵」とあった。最初の「黄色い犬」は画風が違うが、それ以降の三冊の表紙にはすっかり魅せられてしまった。

お名前を存知上げない方なので、最近になって、いろいろ調べて見たら、『ロマン・ロラン讃歌』という本にたどりついた。私のパリ行き携行本、角川文庫『パリ文学地図』の著者、蜷川譲先生の編著の本で、そこに弟さんの兄への追悼文が掲載されていた。

こんな好い作品を作る人が、不遇のうちに、若くして亡くなられる日本の画壇に、何か理不尽の思いがして、悲しかった。この方のタブローを一度は見てみたい。もう散逸してしまったのだろうか、非常に残念である。


† 港の酒場で


 ジョルジュ・シムノン/著 木村庄三郎/訳  

 石垣 栄蔵/装幀

 旺文社文庫●

 昭和52年9月20日初版発行●文庫サイズ カバー 192頁 220円  


↓源義&春樹さんの角川文庫・翻訳文学はこちらへ/

http://www.k5.dion.ne.jp/~miauler3/kado/kado00.html


シムノンのメグレ本の装幀についてはこちらへ/

http://www.asahi-net.or.jp/~px5t-isi/


またあった桂ユキ子の装幀本『銀座川・清川八郎』2015/10/25 09:27

桂 ユキ子/装幀

今年の神田古本祭りは開催日が例年より早く、うっかり初日に行きそびれるところだった。青空ではたいした発見はなかったので、いつも覗かない会館へ行って、驚きの本に出会えた。それがこの本。

未見のシリーズ本だった。絵に惹かれて、装幀者名を捜すと、何と、桂ユキ子とあった。この本、かの、『装丁家で探す本』にも載ってなく、現代美術館の回顧展にも未出品だった。

神田古本祭りでの、久々の収穫であった。たまには特選市にも行くものだ。


† 銀座川・清川八郎


 井上友一郎/著   

 桂 ユキ子/装幀

 小説朝日社●現代文学叢書

 昭和27年12月20日発行●B6判 233頁 220円  


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