なぜか河出メグレシリーズにチグハグ本?2015/01/17 09:25

水野良太郎/装幀

メグレファンに大歓迎された河出の「メグレ警視シリーズ」が完結してから数年後、その新装版が順次出版された。

初版のビニールカバーには難点があった。どうしても経年で縮んでしまい薄い表紙が撓んでくるのだ。その解消ばかりではないだろうか、新装版はビニールカバーはなくなって、本体表紙と同じイラストが印刷されたカバーで装本されるようになった。

数年前何気なしに、古本屋でその新装版の一冊を手に取ったら、表紙はどうも見かけないイラストだった。カバーを剥がしてみると、表紙は全然別の絵だった。その絵は初版と同様の馬車が描かれたもの。なぜ、別のイラストで新装版カバーを作らなければいけなかったのだろう。不可思議だ。

調べてみると、全五十巻のうち、三冊だけこのようなものがあった。そのうちの一冊、『メグレの初捜査』の新しいイラストはモンマルトルのモン・スニ通りの『ミミ・パンソンの家』のところが描かれていた。この辺りはユトリロが何度も描いていて、パリ旅行の団体客なら一度は案内される観光スポットである。メグレ好きでなくても楽しいし、歩いてみて損はしないと思う。


† 新装版『メグレの初捜査』


 ジョルジュ・シムノン/著 萩野弘巳/訳

 水野良太郎/装幀

 河出書房新社●

 ●昭和58年8月25日発行●新書判 (113×175ミリ)カバー 269頁 680円


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