繊細な筆遣いが冴える、初山滋の「谷崎潤一郎」2014/05/13 13:20

初山 滋/装幀

絵本作家として著名な初山滋の装幀の本である。戦後すぐの粗末な小冊子にしてはヤケもなく、大事にされていたのだろう、本の状態は良い。

和紙の表紙に書き文字を巧く使っていて、絵本や挿絵とは違ったおもむきがある。このやさしい佇まいが実にいい。

著者の辰野隆は残念ながら、もう知る人もない仏文学者になってしまったが、装幀をした初山滋の人気は今でも衰えていない。ビジュアルな時代とはいえ、この出来映えで納得がいく。


† 谷崎潤一郎


 辰野 隆/著

 初山 滋/装幀

 イヴニング・スター社●

 ●昭和22年10月12日発行●四六判 334頁 45円


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松本竣介の装幀本があった!2014/05/25 15:14

装幀/松本竣介

 初めて見る本であった。表紙にパリの文字。目次を見ると「装幀・松本竣介」の文字。かの松本竣介がパリの絵を描いていた? 加えて、装幀を?

 意外なことに調べてみると、松本竣介はこの版元の南北書園の本を数点装幀していた。年譜を見ると、彼はパリへ行ったとはないので、著者の芹澤の持ち帰った絵葉書などで、この煙たなびく家並み描いたのだろうか。

 ともあれ、味のあるパリ風景スケッチである。ファンが多い画家が手掛けた貴重な一冊を手に入れたことはうれしい。


† パリの揺籠


 芹澤光治良/著

 装幀/松本竣介

 南北書園●

 ●昭和22年10月15日発行●B6判(121×181ミリ) 218頁 六拾円