こんな人が装幀を!(二)中村琢二が描く「小展望」2013/01/03 10:39

装幀/中村琢二

著者の山田珠樹は戦前活躍した仏文学者だが、もう忘れられた人だろう。私など不勉強であるから、森茉莉の元旦那さんで、ルナールの「にんじん」の訳者として知るのみ。

この本は正直、この装幀に惹かれてを購入した。何とも雰囲気のある庭園風景を描いて秀逸である。装幀者は中村琢二とあった。お兄さんの研一は知っていたが、弟さんだったとは。

この随筆集は歌人の吉野秀雄と俳人の松本たかしの奨めで、本になったと後書きにあった。むべなるかなと得心するためにも、ゆっくり読んでみなければなるまい。


† 小展望


 山田珠樹/著

 装幀/中村琢二

 六興商会出版部●

 ●昭和17年12月30日発行●B6判 仏装 208頁+2頁


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全集&叢書の装幀(6)名無しの『新進傑作小説全集』2013/01/07 08:57

装幀者不明

卓越したデザインなのに実に惜しい。またまた名無しで、装幀者不明本である。

この文学叢書には箱もあるが、カバーのデザインの方がいいので、背から裏面まで全体をスキャンしてみた。

この叢書、昭和4年から5年にかけて出版され、全巻で十五巻ある。調べると聞いたこともない作家の巻もあり、面白い。

犬養健、南部修太郎、石浜金作という名前は初めて知る作家であった。


† 葉山嘉樹 集


 葉山嘉樹/著 装幀/記載なし・不明

 平凡社●新進傑作小説全集(9)

 ●昭和4年10月15日 発行●B6判(108×150ミリ)カバー箱 404頁 定価は予約販売か? 記載なし



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こんな文庫・あんなカバー(20)旺文社文庫の特選、『斜陽』2013/01/12 09:23

山高 登/カバー装幀

版画家・山高登のカバーである。実にいい。偶然見かけて、古書で購入した。この出来映えは旺文社文庫の中でも一二を争うものに違いない。

駒井哲郎も何冊か、旺文社文庫のカバーの仕事をしているが、この本にはちょっと及ばない感じがする。

旺文社文庫には「斜陽」ほか七冊太宰の本があるが、すべて山高登の作品がカバーになっているのだろうかと、調べてみたら違っていた。残念|


† 斜陽


 太宰 治/著 山高 登/カバー装幀

 旺文社文庫 昭和52年9月20日 発行●

 A6判(105×148ミリ) 187頁 250円


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こんな人が装幀を!(三)和田 勉の「地中海人間」2013/01/16 08:28

装幀/ワダ・エミ

舞台衣装デザイナー、ワダ・エミの装幀本。これは珍しい。昔、たまたまギリシャのアテネとロードス島に行く機会があった時に参考書として買ったものの永らく“ツン読”であった。

筆者の奥さんの装幀だったとは最近またこの本を手にして知った。旦那さんの本だから、敢えて畑違いの仕事をしたのだろうか。

これまで黒沢映画の衣装デザインなどで、彼女の仕事を思い出すに過ぎないが、さすがこの装幀も一流。納得させてくれる出来映えである。


† 地中海人間


 和田 勉/著

 装幀/ワダ・エミ

 日本放送出版協会●

 ●昭和50年6月20日発行●四六判(128×188ミリ) カバー 356頁   980円


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村山知義の仕事(1)江口 渙『虚無の花』の装幀2013/01/19 07:52

村山知義/装幀

昨年の夏(2012年)、村山知義の全貌を紹介する巡回展が東京であった。ついつい行かずじまいだったが、アート関連の分野で、多大な業績を残した巨人を総合的に捉えようと試みられたいい回顧展だったようだ。

せめて図録で見とおこうと図書館で借りて驚いた。実に精緻を尽くした展覧会で、無理をしてでも世田谷美術館に足を運べばいいと思ったが後の祭り。

罪滅ぼしに図録に掲載されていなかった戦後の装幀本がたまたま手元にあったので、スキャンした。


† 虚無の花(1947年版)


 江口 渙/著

 村山知義/装幀

 十月書房●

 ●1947年12月20日発行●B6判・カバー 267頁 75円  


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