装幀に屈託あり(17)櫻井忠温(ただよし) 「土の上・水の上」 ― 2011/12/22 07:09
書名からして、人を喰っている。いわゆる判じ物。汽車に乗り、船に乗り欧米各地の旅の記録といった内容で、ご自身を蛙に見立ててこんな書名をつけたといっている。
その内容はともかくとして、この本の装幀には刮目せざるを得ない。この御仁の自装本だが、とても素人業ではないのだ。経歴によると、お若い頃、京都で日本画を学んだそうだから、十分その素地はあったのだろう。
かの日露戦争の旅順攻防では奇蹟の生還をし、陸軍少将で退役後、ジャーナリストに転身した異色の経歴も明治人の面目躍如たるものである。
†土の上・水の上
櫻井忠温(ただよし)/著
装幀/櫻井忠温
實業之日本社●
●昭和4年9月15日初版/昭和4年10月9日十三版発行●四六判・461頁 貳円
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