●装幀に屈託あり(8)東郷青児の「ロマンス・シート」 ― 2011/10/26 09:07
これは翻訳ではなくて、著者自身の体験をちりばめたたエッセー。パリ時代の思い出を中心とした随想と思って買ったが、いささか違っていた。
購入したのはかなり昔で、長らく放りだしたままであった。今回斜め読みしたら、様々なエピソードの中には、著者のラブアフェアも登場するので、なかなか面白い。
しかし、ご自身の本だから表紙画は当然として、扉画を他人に任せているのはどういうことか、吉村勲とはいかなる人物か、寡聞にして分からなかった。調べると、マネキンの大家で二科会の重鎮でした。これで、疑問は氷解しました。お友達でした。
† ロマンス・シート
東郷 青兒(とうごう せいじ) 著
出版東京 コバルト選書 昭和27年8月15日 発行
四六判(130×188ミリ) 233頁 190円(都内180円)
仏装・表紙画/東郷青児 扉画/吉村 勲
装幀に屈託あり(9)東郷青児の仕事 「水の子」補遺 ― 2011/10/27 06:57
東郷青児は女性を描いて、確乎たる地位を築いた画家と思うが、このような子供の絵も捨てがたい。
彼が挿絵や表紙を描いた本は数冊所持しているが、いずれも終戦直後の相当粗末な本で、その上、得意とする女ばかりが描かれたいた。
この本は違っていた。本もまあまあの状態で、その上、ちょっとあまり見かけない画風で、最初、東郷青児のものとは思えなかった。
† 水の子
キングスレイ/著 阿部知二/訳 東郷青児/装幀・挿画
国立書院●昭和22年12月25日発行
●B6判・286頁 120円
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見せます・珍本どうでショウ(1)桜井均の 「抄訳世界文学叢書・椿姫」 ― 2011/10/29 09:04
見た目はチンケな本である。しかし、このシリーズの一冊、「女優ナナ」は目出度く発禁本の栄誉に輝いてる。
発売元の三興社、聞かない名前だが、のちに例の「年を経た鰐の話」を出版した桜井均がこの業界に身を投じた頃の会社名。
戦中、戦後のある時期活躍した彼の出版の原点がここにある。しかし、文庫&袖珍本の世界で、このシリーズがあまり語られることがないので。ご紹介する。
キャッチ・フレーズは「新型ポケット版」と謳った同書の出版案内にはこのシリーズ、8点掲載されているものの、国会図書館で検索したら、発禁本の「ナナ」を所蔵しているのみですぞ。えへん!。
† 椿姫(抄訳世界文学叢書 5)
デューマー(デュマ・フィス)/著 中村草二/訳
三興社●昭和4年1月30日発行
●文庫サイズ(148×103mm)112頁 30銭
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