装幀に屈託あり(4)東郷青児の仕事 その壱 ― 2011/10/07 07:37
英米文学の翻訳本を蒐集していた頃、購入した本です。
何せ戦後すぐの出版だから、表紙はもう汚れて燻った感じだったが、本文の挿絵は用紙を違えて、別刷りだったから、経年を考えれば色鮮やかできれいだった。
この本には装幀や挿絵の作者についての記述がなかったので、長らく、誰の絵だか皆目分からなかった。
何度見ても美しい絵なので、何とかならないかと、保護のためのパラフィンをはずして、弄くりまわしているうちに、表紙の下部、背にぎりぎりに近いところに、「青児」と小さく入っているのを見つけました。迂闊でした。
この発見はつい最近のこと。
表紙もさることながら、中の八葉ある挿絵も素晴らしいもので、作者会心の作品ではないかと思える出来映えです。
何回かに分けて、私の好きな作品を掲載していきますから、乞うご期待。
†水の子
キングスレイ/著 阿部知二/訳 東郷青児/装幀・挿画
国立書院●昭和22年12月25日発行
●B6判・286頁 120円
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