オードリー・ヘップバーンの本(2)2011/06/01 07:06

HAYAKAWA POCKET BOOK 515

 「麗しのサブリナ」は対訳シナリオが出た後、原作の小説が翻訳出版された。こうした映画作品の原作出版はタイアップもあって、以後盛んになる。

 角川文庫の「バリー・リンドン(サッカレー)」、「遥か群衆を離れて(トマス・ハーディ)」など見られる翻訳出版の質の高い内容はこうした原作の映像化の賜物といえる。

(角川文庫の翻訳文学に関しては「角川文庫万華鏡」というサイトをご覧下さい。Googleで『角川赤帯』検索すればトップに出ます)


麗しのサブリナ

サミュエル・テイラー 著/清水俊二 訳

早川書房 ハヤカワポケットブック 昭和29年9月30日 発行

新書版 133頁

パリの本 蜷川 譲 著「パリ文学地図」2011/06/02 07:47

 パリに最初に行ったのは昔むかし。ツァーを離れて、自分たちだけで、エッフェル塔そばの駅からRERに乗って、ヴェルサイユ宮殿へ行けたことを、子供のように喜んだことを思い出します。

 以来、パリに関する本はいろいろ集めて、旅の助けにしてきましたが、毎回カバンの中に入れて持っていった本がこの本です。

 フランがユーロに代わろうと、昔も今も基本的にはパリの名所旧跡は変わりせんから、いつもパリ市内歩きにお役立ちのいい本です。  


† パリ文学地図

蜷川 譲(にながわ ゆずる) 著

角川書店 角川写真文庫 昭和40年12月10日 発行

文庫版 286頁


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パリの本(2)芦野 宏著「パリの空の下」2011/06/03 07:41

 芸能人が書いたパリについての本は数多くあります。高峰秀子の『巴里ひとりある記』が有名ですが、往年のシャンソン歌手、芦野宏『パリの空の下』は今となっては得難い本の一冊でしょう。

 巻頭に別刷り口絵写真10頁。イブ・モンタンなど歌手との会見記やパリでもエピソードがいろいろと書かれてあって、巻末に彼のレパートリーが薩摩忠の詩で載せてあります。

 本作りも凝っていて、カバーの上にかけてある透明な紙に書名がフランス語で印刷されてあります。


パリの空の下

芦野 宏(あしの ひろし) 著

大日本雄弁会講談社 昭和32年4月30日 発行

B5変型判(182×210ミリ) 167頁

パリの本(3)アレキサンダー・ワット 著「パリ食べあるき50店」2011/06/04 06:51

 柴田書店から出た、辻静雄先生の最初の『パリの居酒屋(びすとろ)』の種本の翻訳書です。

 先生はパリで、この食べ歩きの名人ワット氏にお会いになったそうで、原書は英語、世界で十数カ国語に翻訳されたということです。

 先生は仏訳でお読みになって全店行ってみたらしく、ワット本掲載の五〇店のうち三一店(彼の舌にかなった?)を採用しています。

 ちなみに後年の新潮文庫版をみると、再度掲載された店は十八に減っていました。  


パリ食べあるき50店

アレキサンダー・ワット 著/唯 松太郎(ゆい まつたろう) 訳

中央企画社 昭和46年11月15日 発行

B6判 406頁 紹介店所在地記載パリ地図付

辻静雄の本2011/06/05 08:51

 辻静雄先生が「ソースの本」に続いて書いたフランス料理の本。先生は意欲的に一生懸命書いたのだが、さっぱり売れなかったらしく、相当落ち込んで、もう料理書は出すまいと決意したという。

 後年、先生の信奉者であるピアニストの中村紘子さんはこの本の改訂版の新潮文庫「家庭のフランス料理」の解説で、

「何度やっても、あのままじゃ作れないものがでてきて。いや、まいった」と、

先生自ら元版の不備を正直に告白したことを暴露しております。


たのしいフランス料理

辻 静雄 著

婦人画報社 昭和42年11月1日 発行

A5判 184頁 カバー 780円


家庭のフランス料理

辻 静雄 著

新潮文庫 昭和60年5月25日 発行

A6判 286頁 カバー 600円